新じゃがの煮っころがし
今ごろになると食べたくなり、頼んでつくってもらうものがある。用意するのは新じゃが。ある時期、これの小さいものばかりを袋に詰めたものが売られる。機を逃さずそれを買ってくる。なぜか大きい新じゃがではおいしくできない。じゃがいもの味が悪くなるわけではなく、じゃがいもの表面積とそこにからむ調味料の味とのバランスが問題なのだと思う。
小粒の新じゃがは洗うが、皮はむかない。これを多めのゴマ油で炒める。揚げるという方法もあるという。表面にしわが寄るまで炒める。そのあと味を調える。砂糖、酒、だし、醤油を加え（いずれも適当な量なので数量化はできないと言われてしまった。そんなものか）、少し煮詰めて、最後に照りを出すためにみりんを少々加えたらまた煮詰める。あまり煮詰めすぎると焦げてしまうので要注意。褐色のとろりとした調味料が新じゃがにからんだらできあがり。
それだけのもの。小さいものから選んで食べる。ほくほくした新じゃががおいしい。素材も調味料もたいしたものではないのだけれど、今しか食べられないという意味では、なかなかたいしたものだ。これも小物ながら『来年まで生きていたい』と思わせてくれる味のひとつだ。
（2007年5月25日）
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