ニコデモさんという人が出てきた。イエスさまも出てきた。そしてこの二人が話し合いをした。ニコデモさんは神さまがイエスさまに味方していることがよくわかっていた。だからイエスさまのところに行って話をしてみたいと思った。でもほんとうは話をしてはいけなかった。ニコデモさんの仲間たちは、イエスさまのことをきらいだったから。だからニコデモさんは、仲間に見つからないように、夜こっそりと会いに行った。

そこまでしてイエスのところに行ったのだけれど、イエスさまはニコデモさんにはわからないことを言い出した。それを短くまとめて言うと、「人は新しく生まれ変わらなければならない」ということ。これは「神さまを信じる人はどのような生き方をするのか」ということをイエスさまが説明してくれた言葉。神さまを信じる人はもう一度うまれなければならない。新しく生まれるとはいったいどういうことだろうか、ニコデモさんにはそのことがまったくわからなかった。

それを聞いたイエスさまは、「たしかにそうかもしれないね、わかりにくいかもしれない」と、風の話をしてくれた。そのところをもう一度読む。「風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない」。わたしたちはだれも風を見ることはできない。風が木の葉をざわざわと揺らしていくのを見て、風が通り過ぎるのを知ることはできる。風が吹いたときに顔が涼しくなって、「風が左から右に吹いていくな」と感じることはできる。でも風をこの目で見ることはできない。それに風がどちらからどちらに吹くか、人間が決めることもできない。風が吹くのを止めることもできない。風は人間にはどうすることもできない。風は自由に動き始め、そして通り過ぎていく。風はそういうもの。

どうしてイエスさまがそんな風の話をしたのか。神さまが考えることも風と同じで、見ることもつかまえることもできないということをわかってほしかったから。神さまは見えない。神さまを人間の力で動かすことはできない。神さまは神さまが考えたことを、神さまがしたいときに行う。神さまはわたしたちにはわからない。

新しく生まれるということも、どういうことなのか、わたしたちにはわからないようなこと。けれども、神さまを信じたら必ず何かが変わる。わたしたちが気づかなかったとしても何かが変わる。そのことをイエスさまはニコデモさんに教えてくれた。でも残念なことに、このときニコデモさんには何にもわからなかった。このあとニコデモさんは何回か出てくる。そしていちばん最後に出てくるときには、イエスさまが言っていることがどういうことかわかり、イエスさまと神さまを信じるようになる。そのときニコデモさんは新しく生まれ変わっている。

神さまを信じるということは新しく生まれること。生まれ変わること。何が起こるのかわからない。わたしたちも風のようになって、神さまに「行きなさい」と言われたところに行って、そこで働く。どこへ行くのかわからない、いつ行くことになるのかもわからない。わたしたちは風のように自由な神さまを信じ、風のように生きる。

BACK

---

はじめのページへ